スマートソナーの取扱い説明書 2020年9月改訂 |
【概要】 本装置は、視覚障害者の方が、超音波の反射音を聞くことで前方の様子を感知することができるように支援する装置です。白杖の歩行訓練を受けられた方に使っていただくことを前提にしています。 メガネに装着されているセンサーユニット(中央1個の発信子と左右2個の受信子)とイヤホンを装置本体に接続して使用します。発信子から超音波を発信して、返って来る反射音を左右二つの受信子で受信し、装置本体で人間に聞こえる音に変換します。その音をイヤホンで聞くことにより、前方に広がっている物体などの位置を感じとることができます。 反射音をステレオ的に聞くことができますので、前方にある物の方向が右の方か左の方か判ります。聞こえる音は、前方の物体までの距離が遠いほど高い音に、近いほど低い音になります。聞こえる音の大きさは、発信子に向かい合っている物体の面積が大きいほど、向きが発信子に対して垂直に近いほど、大きく聞こえます。前方に違った距離で複数の物体がある時は、その距離に応じて違う高さの音が混じって聞こえます。 なお、本装置を安全に使用していただくために、この取扱説明書にあります「基本動作の確認」を必ず行ってください。 【使用上の注意】 1.本装置は前方にある物体の状況を音で知らせますが装着状況や使用法によっては反応し難くくなったり、まったく反応しないこともあります。 2.知っておいていただかなければならない特に重要な事項 1)センサーユニットと向かい合っている物体の表面が、電柱や乗用車のボンネット・フロントガラスのように、曲面や傾斜している場合、反応が弱いか、まったく反応しない場合があります。 2)小さな物や細い物にはほとんど反応しません。 3)使用前には必ず周囲の状況の判っている場所で十分に動作確認をしてからご使用願います。 4)装置本体の電池の中に電気が残っているか注意してください。 5)本装置使用のみによる単独歩行は危険です。必ず白杖により安全を確認しながらご使用願います。 6)水濡れ厳禁です。特にセンサーユニットは水濡れに弱いので、雨などに当てないよう十分ご注意ください。 7)高温になる所、直射日光の当たる所、湿度の高い所に置かないで下さい。 【装置本体に使用している電池について】 電池は単四型乾電池(アルカリ電池を推奨)を4本使用します。 電池は新しい同じ型の電池を使用してください。 新旧の電池や違うメーカーの物を混ぜて使用しないでください。発熱したり、正常に動作しないことがありますから。 長期間使用しない時は液漏れによる故障の防止のため電池を取り出して保管してください。 高温になる場所や湿度の高い所に置かないようにしてください。 【機器構成】 本装置は、メガネに装着されているセンサーユニットとイヤホンと装置本体で構成されています。 【各部の名称と説明】 1)センサーユニット センサーユニットはメガネに装着されています。メガネの中央に超音波発信子1個と左右のツルにそれぞれ1個の受信子が装着されています。受信子の後ろには円盤状の集音器が着いています。 センサーユニットは軽量にするために細いケーブルでできています。特に超音波受信子を装着している部分は頑丈にはなっていませんので強い力を加えたり分解しないでください。何かにひっかかったときは、強く引っ張らないでください。 2)イヤホン イヤホンは市販品を使用しています。ステレオのイヤホンであれば、他のイヤホンに変更しても多くの場合、使用可能です。ただし、外部の音がまったく聞こえないイヤホンを使用するのは危険ですから使用しないでください。 3)装置本体 装置本体には、センサーユニットを接続するためのセンサーコネクター、人間に聞こえる音に変換した音をイヤホンに伝えるためのイヤホンジャック、電源スイッチ兼音量調整ツマミ、左右の音量のバランスを調整するためのバランス調整ツマミがついています。 電源スイッチ兼音量調整ツマミは、電源のオン・オフと音量調整を兼ねています。左にいっぱい回した所が電源の切れた状態です。そこから少し右に回すとカチッと音がして、電源が入ります。以後、右に回すにつれて音量が大きくなります。左に戻すと音量が小さくなり、カチッと音がして、電源が切れます。 コネクターと操作つまみの位置は次のとおりです。電源スイッチ兼音量調整ツマミが、上・左側に来るように、立てて持ちます。以下、ツマミがついている面を上面と表します。自分と向い合せになる面を前面と表します。また、前面の反対面を背面と表します。 以下はこの向きで装置本体を持った時の各部の位置です。 ・センサーコネクター:上面の右側にある大きい窪みです。 ・イヤホンジャック:センサーコネクターの左にある小さい窪みです。 ・バランス調整ツマミ:イヤホンジャックのすぐうしろにある細い突起です。 ・電源スイッチ兼音量調整つまみ:上面一番左側の太いつまみです。 これらのほかに、装置本体には電池ボックス蓋があります。 ・電池ボックス蓋:背面下部の四角い部分で、そこにある円くて浅いくぼみの中にギザギザのある部分を押さえて下に向けて引くとスライドして取りはずして電池を交換することができます。 【使用の準備】 1)電池の取り付けと交換 電池ケースの蓋をスライドして取り外し、単四型乾電池4本を電池ケースに取り付けます。 なお、お買い上げいただいたときには動作確認用単四型乾電池(4本)が入っています。 2)装置本体を身につける 装置本体を肩掛けポシェットか、ベルト掛けポシェットか、洋服のポケットなどに入れてください。 3)イヤホンを身につける イヤホンはステレオ用です。右左を気を付けて、耳たぶにしっかりとつけてください。 4)センサーユニットが装着されているメガネを身につける 5)装置本体につなぐ ケーブルの先端についているセンサーユニットのプラグを装置本体のセンサーコネクターに差し込んでください。 次に、イヤホンのプラグをイヤホンジャックに差し込んでください。 6)装置本体の電源スイッチを回してオンにし、続いてゆっくり回して音の大きさを調整してください。 音の大きさが左右で違っていましたらバランス調整ツマミをまわして調整してください。部品の特性上、音の大きさを変えると左右のバランスがくずれることがありますので、ご注意ください。 【基本動作の確認】 はじめて使用する場合は、この装置の特性をより正確に理解していただくために、「基本動作の確認」から行ってください。また、その際、安全のため、必ず、視力のある人の協力の下で行ってください。 以下、協力者がおられることを前提に、「基本動作の確認」について説明します。 1.以下のようにして、壁または塀など大きな平面のある場合の反応を体験します。 1)左右に何もない空間(なるべく屋外もしくは天井が高くて広い部屋)で、壁または塀など大きな平面から2~3mのところで大きな平面に向かって立ちます。 2)センサーユニットと壁が正面に向かい合っている時にイヤホンの音が最大になります。 顔を左右に少し振ってみて音が最大になった時が壁に対して正面を向いたことになります。 壁に対して正面を向いた時に左右の音量に差がある場合は、バランス調整つまみで左右の音量が同じになるように合わせます。 音量調整は聞きやすい音量に合わせます。長期間音量を上げすぎて使用すると聴力を損なう場合がありますのでご注意ください。 3)協力者に壁までの距離を教えてもらいながら、ゆっくりと壁に向かって進み、音の変化を聞き分けます。 壁の直前数10cm程度まで近づき近づいた時の音を確認します。 そのまま1m位後ろ向きに下がり、立ち止まります。 顔をゆっくりと左右に振ってみて音の変化を確認します。 これにより障害物にたいして垂直に向いていないと反応が鈍くなり、まったく反応しない場合があることを確認してください。 次にその場所で顔を下に向けたり、上に向けたりして同様の感覚を確認します。 4)壁から2mの位置まで下がって壁に向かって立ち、顔をゆっくりと左右上下に振ってみて音の変化を確認します。 5)壁から3mの位置まで下がって壁に向かって立ち、顔をゆっくりと左右上下に振ってみて音の変化を確認します。 次に、壁に向かって立っている状態で協力者に壁の前を左右に歩いてもらい音の変化を確認します。 協力者に壁からの距離を変えて歩いてもらい何回か試してください。 6)壁からの位置を色々かえてみて5mまで6項と同じ確認をします。 2.生活環境での動作確認 距離の違う位置に複数の物体がある時は低い音と高い音が混じった複雑な音が聞こえ、複数の物体があることが聞き取れます。物体の大きさが小さい時は反応する音が小さくなります。 状況のよく分かっている場所を、協力者に状況を聞きながら歩いて、センサーを水平に保って歩いた時と少しうつむき加減に歩いた時の反応を体験してみます。 3.自宅近辺での動作確認 協力者に状況を聞きながら歩いてセンサーを水平に保って歩いた時、少しうつむき加減に歩いた時の反応を体験してみます。 路上駐車の車、塀、生垣、電柱、街路灯などの反応を体験します。 歩いてみて建物への入り口付近の反応、道路が交差をしている所での反応などを体験します。 歩道や道路の安全な場所で歩行者、自転車、走行している車など動いている物の反応を体験します。 【仕様】 環境認知距離の目安 :最大5m これは、大きな壁に垂直に向く時の参考値です。使用環境、装着状況でこれより短くなることもあります。 センサーユニット 超音波発信子 :ピエゾ型 発信超音波周波数:約70kHz(スイープ信号) 超音波受信子 :エレクトレット型・2個 電源 :単四型乾電池4個(6V) 使用可能時間の目安:アルカリ電池の場合、断続的使用で合計約17時間 電源をオンにしたまま放置すると約16時間で電気はなくなります。 ただし、参考時間です。電池により違いがあります。 装置本体の大きさ:幅75mm、高さ151mm、厚さ33mm 装置本体の重量:約約230g(電池を含む) 使用しているイヤホン:Panasonic RP-HZ47 以上 問合せ窓口 製造・修理:ほりき工房 〒690-0873 島根県 松江市 内中原町281-1 ヴェルパーク内中原町304 電話 0852-33-7199 メール horiki@enjoy.ne.jp 企画・導入指導:NPO法人エス・アイ・エヌ 久保正道 〒730-0051 広島市中区大手町5-3-4 いっぽ内 電話 082-247-0058 メール GZB02220@nifty.com |